印刷物やグッズ制作の依頼時に「PANTONE指定」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。今回はPANTONE指定とは何かいうことについて簡単にご紹介いたします!
PANTONEとは

そもそもPANTONEとはアメリカの会社で、その会社が販売しているパントン・マッチング・システムという色見本帳が「PANTONE」と呼ばれています。
この色見本帳は世界で使用されていて、印刷・ファッション・プロダクトデザインなど幅広い業界で基準となっています。
似たようなもので「DIC(ディック)カラー」というものもありますが、それはまた別の記事でご紹介します。
PANTONEの使い方
今回は印刷での使用を想定して話を進めます。
今回使用するのは、「PANTONEカラーブリッジ」という見本帳で、PANTONEの特色とCMYKが並んでいる見本帳です。(よくわからない方は「なんだか便利なもの!」と覚えていただければOKです)

印刷は基本的にCMYKの4色で表現されます。その4色では表現できない色を「特色」と呼び、例えば「蛍光色」や「金銀」などが簡単に思い浮かぶと思います。
CMYKは万能ではなく、赤でも青でも緑でも何色であろうと、CMYKでは表現できない色がたくさんあるのです。

もし「青」であってもCMYKでは表現できない「青」も存在していて、その色を表現したいときに「PANTONE指定」をして色を決めます。(DIC指定も同じです)

このように「青」だけでもいろいろなPANTONEカラーがあり、そこから選んでいきます。

「PANTONE 2736C」にするぞ!と決めたとしましょう。
この「C」とは紙が「コート紙 Coated」ですよという意味です。マット紙とコート紙では色の見え方が違ってくるため分類されています。
マット紙の場合はMatte coatedの「M」
上質紙の場合はUncoatedの「U」
の記号が使われます。一般的には「C」つまりコート紙の見本帳が使われることが多いので購入するとしたら「C」のもので良いでしょう。

さて、2736C(写真左)の横に2736CP(写真右)という色があります。
「C」はコート紙の意味ですが、「P」はCMYKのプロセスカラーで擬似的に表した色になります。「CP」がCMYKで表現できる鮮やかさの限界で、写真で見ても左側のPANTONEカラーの方が鮮やかなことがわかりますよね。
また、数値としてRGBカラー・HTMLのカラーコードの数値も出ていますので、WEB表示するときの色合わせの参考としても使えます。
Illustratorでの指定方法
色を変えたいオブジェクトを選択してから、以下のようにボタンを押します。
「塗り色の横の矢印」→「本のアイコン」→「カラーブック」→「PANTONE+ Color Bridge Coated」

この「PANTONE+ Color Bridge Coated」というのが今回使用している見本帳です。ここを間違えると対応した色が出てきません。
「PANTONE+ Color Bridge Coated」と「PANTONE+ CMYK Coated」は別物の見本帳で互換性もないのでご注意ください。
さて、無事に「PANTONE+ Color Bridge Coated」をすると、このように番号の記入欄が出てきますので、希望の数値を打ち込みます。

すると、このようにオブジェクトをPANTONEの色で指定することができました。
PANTONE指定をする際は印刷会社に必ず確認を!
ただし、このまま普通にWEB入稿をしてしまうとCMYKカラーに変換されて普通の印刷をされてしまいます。
PANTONE指定をして特色を使用する際は、必ず印刷会社にメールなり電話で事前に確認・連絡をしておきましょう。
印刷の世界では「DICカラー」が主流のことも多いので、印刷会社によっては「DICカラー」だけの特色指定を受け付けている場合もあります。
PANTONE見本帳っていくらするの?
amazonでは30,151円です。ちょっと値が張りますね。しかし全ページが新色294色を含むパントンのスポットカラー全2,135色で印刷されているスーパー見本帳ですから、普通に考えたらそのくらいしますよね。安いくらいです。
その他の使用シーン:キャラクターの仕様書に使える
自分のキャラクターを持っていて、ぬいぐるみなど商品展開されることになると、メーカーさんからだいたい必ず言われます。「キャラクターの色のPANTONE指定をお願いします」。
そのような時は「はい!わかりました!」と言って、急いで「PANTONE+ Color Bridge Coated」を購入し、自分のキャラクターデータのCMYK値と近いPANTONE指定をしましょう!
筆者はそのような経緯で「PANTONE+ Color Bridge Coated」を購入し、「DICカラーガイド」も購入しました。私のように焦ることがないよう、グラフィックやキャラクターを制作しているのであれば「PANTONE+ Color Bridge Coated」は一冊買っておいても良いかと思います。
「DICカラーガイド」についてはまた別の記事でご紹介できればと思います!
それでは、PANTONEについてなんとなくわかったところでクリエイターとしての新しい一歩を踏み出しましょう!
そもそもCMKYって何?という方はこちらの記事もご覧ください。